K・Hさま 症状:叢生(そうせい)

K・Hさま 症状:叢生(そうせい)

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矯正をはじめて、3年が経過しました。半年後の確認をおえ、今度は一年後の診療予定です。 始める前、一番心配だったのは、仕事をしながら、診療時間を確保できるか、ということでした。予約時間にさえいけば、あまり待たずに診療していただけるので、助かりました。また、事情をお話して、予約をとりやすく配慮していただけたのも、無事続けられた要因だったといえます。
次に、若くないのに、ちゃんと歯が思い通り動くのか?こればかりは、専門家のおっしゃるように「大丈夫です、少し時間はかかりますが」という言葉を信じるしかありません・・・結果、ちゃんと動きました。ということでこれを書いております。 

矯正を始めたきっかけは、「このままでは、歯周病が進む一方です。歯並びをなおすしかないですね。」といわれたことからでした。歯が重なってはえているため、どうやっても歯ブラシが届かない部分ができ、そこから歯周疾患がはじまっており、「すでにかなり骨が減ってしまっていますよ、ほら。」とX線フィルムとともに説明されたのです。
一応迷って、サードオピニオンまでいきましたが、「成人の矯正はかなり専門的だから近所というより矯正専門のところを選ぶことをおすすめする。」というアドバイスをいただき、決意しました。 

痛み、飲食への影響、外見、等はもともと二の次でしたので、ほとんど、気になりませんでした。主婦の立場から食事を調整するのはラクです。今になって思い返すと自然とピリ辛系のメニューはなくなっていたかも。家族は気付かなかったようです。歯ブラシと歯間ブラシは常に持参し、昼食、夕食のあとも水道かトイレでてブラシしました。装置に食べ物がはさまったまま、人と話はできませんのでやむをえず。 

機能面で「話しにくさ」がでてくる、というのが気になりました。仕事をしながら、気のおける方と話をするのに、いちいち「言葉がはっきりしなくてすみません」というのもちょっと、困ります。結果として、対面では、相手に矯正装置がみえるので、かえって問題ありませんでした。電話は、見えない分、工夫してちょっとスピードをおとし、口を動かしてはっきり発音するよう気をつけることで、まあ、なんとかなりました。先生から、吹奏楽器の演奏者も装置を工夫して矯正している、という話をうかがいましたので、物は考えよう。 音楽家が吹きづらいのに比べれば、多少発音が悪くなるくらい・・と思うことにしたのです。
印象的だったエピソードを三つあげてみます。  

・まず、周囲の反応。
・そして、30年間(?)かみ合ったことのない上下の歯が初めて触りあうようになったときの感触の新鮮さ。
・最後に、矯正前に抜歯してもらった歯科医さんで、矯正後に虫歯治療をしている時、矯正したことに気づかなかったこと。
それくらい歯並びがすっかり変ってしまうのです。
当初目的の歯周疾患進行防止がどれだけできるかわかりませんが、歯磨きは楽になりました。 あとは習慣化した歯間ブラシとフロスを続けて、なるべく自分の歯を長く使い続けたいと思っています。 

装置をつけた当初は周囲からかなり反応がありました。
「歯をどうかなさったんですか?」「どうしたの?」「あの、美容目的ですか?」 「こんなこと聞いては失礼かもしれませんけど・・・・。矯正っていくつくらいまでできるんですか?」等々。 ときどき、「その年齢で矯正!?歯医者にだまされてボラれてるんじゃないの?」「その歳で見合いするのか」等失礼千万な人もいましたが、みんな確かにびっくりしているようなので、おかしかったです。私自身、矯正は歯も歯茎も柔軟な若者のやるものだと思っていたので、周囲で驚く人の気持ちがよくわかり、「さあ、時間は倍くらいかかるそうですけど、できるんだそうですよ」と、答えておりました。 

歯周病が発生している年齢で、きっと骨も白くカチカチで、あごの骨もまさか今さら力がかかるとは思わず、さぞびっくりしたことでしょう。骨折すれば治るんだから、同じことかもしれないけど、生きている限り力を加えると歯は動くものなんだなあとしみじみ、驚きました。

はえてきたものの、位置が悪かったため、歯としての機能を果たさず、ものを咬む感覚を知らず、ただ”並んでいた”だけの歯が、上下ともに動いた結果、ちゃんと出会って、かみしめると上下の歯茎にぐっと力が伝わるようになりました。かみ合ったことのない上下の歯が初めて触りあうようになり、「へえ、こんな感じ・・」と新鮮な感触で、何回か試して味わってしまいました。本当は、動かしている最中はあまり力をいれちゃいけないんですけど。 

きれいに並んだ、と私が思うようになったのが約1年、プロの目で「まだまだ」と調整を続けられ、あとは維持、という時間がまた1年強。診療の時に説明をきいているので、私は当然と思っているのですが、またまた周囲の人は「まだ、つけているんですか」「いつとれるんですか」「もう半年くらいつけてるでしょ(ほんとうは1年以上でした)結構長いですね」「前はどんなだったか忘れたけど、きれいになりましたよね」といろいろ関心をもってくれました。「どこでおやりになったの」「私もやろうか迷っているんです」という方には、「いくつになっても動くのよ。歯磨きがしやすいわ」とお勧めしておきました。